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陰嚢が腫れる原因

① 陰嚢が腫れる原因は?

男性の陰嚢が腫れる、膨らむ場合には以下の病気の可能性があります。痛みを伴う場合、伴わない場合で可能性のある病気は異なります。痛みがなく精巣(睾丸)が腫れる場合には、精巣腫瘍とよばれる悪性腫瘍の可能性があります。陰嚢が腫れた場合には放置せず、かならず泌尿器科を受診し詳しく調べることが大切です。

陰嚢が腫れる病気には、精巣腫瘍、陰嚢水腫、精液瘤、精巣上体炎、精巣捻転症、精索静脈瘤などがあります。

② 陰嚢が腫れる病気

1)精巣腫瘍

1.精巣腫瘍とは?

精巣は、男性の陰嚢内に左右1つずつある臓器で、睾丸(こうがん)とも呼ばれます。

精巣には男性ホルモンと精子を作る役割があります。精巣腫瘍は、この精巣の中にある細胞から発生する腫瘍のことを指し、多くは悪性腫瘍(がん)です。痛みのない、精巣腫大を契機に病院を受診することがほとんどです。精巣腫瘍の好発年齢は0~10歳、20~40歳、60歳以上の3峰性と言われており、若年者に発症するのが特徴です。

精巣腫瘍の発生には遺伝的要因と環境的要因が関わっており、遺伝的要素や胎内でのホルモン環境、低体重児や停留精巣、出生から思春期における影響など、多くの因子がその発生に関係していると言われています。父親が精巣腫瘍であれば4倍のリスク、兄弟が精巣腫瘍であれば8倍のリスクがあるとされ、遺伝的要因も関係があると言われています。

2.精巣腫瘍の診断、検査について

①陰嚢超音波検査:精巣腫瘍の診断で重要な検査は陰嚢超音波検査です。陰嚢が腫れている場合、精巣が腫れているのか、精巣上体が腫れているのか鑑別することは時に困難です。陰嚢超音波検査を行うことで多くの場合精巣に腫瘍を同定することが可能です。

②血液検査:精巣腫瘍を疑う場合、血液検査で精巣腫瘍の腫瘍マーカーを測定します。また、精巣上体炎などとの鑑別に血液検査が有用である場合があります。

③CT検査、MRI検査:精巣腫瘍を疑う場合、CT検査で転移の有無を調べます。また精巣腫瘍と他の陰嚢疾患の鑑別のためにMRI検査を行うことがあります。

3.精巣腫瘍の治療方法は?

精巣腫瘍の治療は、まずは病気のある精巣の摘出術を行い、病理検査で腫瘍の種類(セミノーマ、非セミノーマのどちらであるか)を診断することが重要です。転移をきたすことも稀ではありませんが、多くの場合、抗がん剤治療や放射線治療に非常に良く反応し、比較的高い確率で完全治癒が望めます。悪性腫瘍(がん)の中では最も抗がん剤や放射線治療が効果を示す腫瘍の1つです。

2)陰嚢水腫

①陰嚢水腫とは?

陰嚢内に水(リンパ液)が貯留する疾患です。正常でも多少のリンパ液が貯留していることはよくありますが、リンパ液が過剰に溜まると陰嚢が大きく膨らみ、生活に支障をきたします。精巣腫瘍以外で、痛みをともなわない陰嚢腫大の原因としては陰嚢水腫がもっとも頻度が高い病気です。精巣鞘膜とよばれる精巣を包み込む膜の内側にリンパ液が貯留した状態で、この精巣鞘膜が何らかの異常をきたしリンパ液の吸収ができなくなった場合に多量のリンパ液が貯留します。腸が存在する腹腔内と交通した交通性陰嚢水腫と、交通をみとめない非交通性陰嚢水腫に分類されます。

②陰嚢水腫の診断、検査は?

図:陰嚢水腫の超音波画像

触診とライトなどで陰嚢に光を当てると透き通って見える(透光性)ことから多くの場合診断できますが、陰嚢超音波検査を行えば確実に診断することができます。陰嚢超音波検査では精巣の大部分を散り囲む液体の貯留が確認できます。精巣腫瘍が原因で陰嚢水腫が生じることが稀にあるため、精巣腫瘍の可能性を否定できない場合には、腫瘍マーカーなどの血液検査を行うことがあります。

③陰嚢水腫の治療は?

軽度の陰嚢水腫であれば、特に治療せず経過観察する場合もありますが、多量のリンパ液が貯留し陰嚢が大きく膨らむ場合には生活に支障が生じることがあります。したがって、患者さんの希望に応じて治療を検討します。

もっとも簡単な治療が、超音波検査を見ながら陰嚢に針を穿刺し、リンパ液を吸引する治療です。吸引したリンパ液は通常黄色透明でサラサラしています。この液体の中に悪性細胞が含まれていないか細胞診検査で調べることがあります。穿刺をすることで一旦陰嚢は縮小し正常に戻るものの、多くの場合数日~数か月で再び液体が貯留し元の状態に戻ってしまいます。したがって穿刺しても根本的治療にはなりません。再発をしない根本的治療は手術治療です。陰嚢皮膚を切開し、陰嚢水腫の原因となっている精巣鞘膜の大部分を切り取る治療です。穿刺を希望する患者さんも多いですが、何回も穿刺をすることで陰嚢内には炎症が生じますので、将来的に手術を行う場合に非常にやりづらくなる危険性があります。したがって当院では穿刺してもすぐ再発する患者さんには、手術での根本的治療をお勧めしています。

3)精液瘤

①精液瘤とは?

精液瘤は精巣上体の先端部に好発する内部に精液を貯留した袋状の腫瘤のことを言います。

精巣上体は精子を運ぶ輸送管ですが、この精巣上体の一部が閉塞し破れることで精液が貯留し発生します。したがって精巣鞘膜内にリンパ液が貯留する陰嚢水腫とは全く異なる病気です。精液瘤はそれほど稀な疾患ではなく、陰嚢の超音波検査を行うと成人の30%に発見されると言われています。原因は不明で、年齢とともに発生率は増加します。稀に外傷,精巣上体炎,精管結紮などが誘因となって発症すると言われています。

②精液瘤の症状は?

ほとんどが無症状で痛みを伴わない陰嚢腫大で気が付きます。入浴の際に陰嚢内の袋(腫瘤)に気がつくことが多いです。精巣が3個あります!といって受診する患者さんもいます。小さければ特に治療は必要ありませんが、時に巨大な精液瘤が発生し、違和感や歩行時に邪魔になるなど生活に支障がでることがあり、その場合には治療を行います。

③精液瘤の診断、検査は? 

陰嚢超音波検査を行うことで診断できます。陰嚢水腫や精巣腫瘍などとの鑑別を行う必要があります。細い針で穿刺することで、白色の液体がひけることで精液瘤であることが確認できます。

④精液瘤の治療について

症状がなく小さい精液瘤に関しては治療せず経過観察を推奨します。大きな精液瘤で、生活に支障をきたしている場合には治療を行います。根本的治療は手術での精液瘤切除です。しかしながら、若年者の場合には手術治療の影響で精巣上体の閉塞をきたすことがあり、不妊症の原因となることがあるため、手術を行うかは慎重に決定する必要があります。

4)精巣上体炎

精巣の隣に付着する精巣上体とよばれる臓器に生じる細菌感染症です。詳しくは尿路感染症のページを参照してください。

5)精巣捻転症

①精巣捻転とは?

精巣捻転は、思春期男子に好発する疾患で、精巣が捻じれて血流が途絶えてしまう病気です。適切な診断により緊急で手術による整復が行われなければ精巣の壊死(くさってしまう)をきたす恐ろしい病気です。思春期の男子が精巣を失うことによる精神的、肉体的苦痛は計り知れません。残念ながら昨今の医療現場においても、いまだ精巣捻転症の認知度は決して高いとは言えず、適切な診断・治療が行われず精巣の壊死に至ってしまう場合を時に経験します。精巣捻転は年間男性10万人あたり0.56人の発症と推測されており、比較的稀な病気です。好発年齢は新生児期と思春期の2峰性分布とされ、ピークは13-14歳と言われています。夜間睡眠中や早朝起床時の発症が多いと言われており、実際に夜中に病院に緊急搬送される患者さんを時に経験します。

②精巣捻転の症状は?

典型的には発症が急で激しい陰嚢(精巣)の痛みと腫大ですが、痛みが軽い場合や精巣の腫大があまりない場合もあります。最初は陰嚢の痛みに気が付かず、下腹部痛や鼠径部痛(足の付け根)を訴えて受診する患者さんもおり、診断に苦慮することがあります。

③精巣捻転の診断は?

陰嚢超音波検査で精巣の血流を調べることで多くは診断可能です。しかしながら、血流が残存する軽度の捻転も存在しており、100%確実に診断することは困難です。精巣上体炎などその他の陰嚢内疾患との鑑別のために、血液検査や尿検査を行うことがあります。

④精巣捻転の治療は?

精巣捻転を疑った場合には、緊急手術での捻転の解除が必要です。精巣が壊死せず手術で温存できるのは捻転発症後6~8時間と言われており、この時間はゴールデンタイムとよばれています。ゴールデンタイムを過ぎると、手術を行っても精巣は壊死している可能性が高く、ゴールデンタイム内に手術治療を実施することが必要です。

6)精索静脈瘤

①精索静脈瘤とは?

精索静脈瘤は思春期以降の男性に好発する疾患で、精巣周囲の静脈(蔓状静脈叢と言います)に血液がうっ滞し、静脈が怒張(腫れる)する病気です。軽い静脈瘤であれば気が付かないことも多いですが、静脈瘤が大きくなると、陰嚢が瘤(こぶ)状に腫れることで気が付きます。左の精巣静脈は、左側の腎臓の静脈に繋がっており、左腎静脈から精巣静脈に血液の逆流が生じることで、左精巣静脈に血液がたまり、瘤(こぶ)状の腫れを起こします。精索静脈瘤は男性の8~23%にみとめると言われています。

②精索静脈瘤の症状は?

自覚症状はないことが多いですが、「怒張した静脈周囲の疼痛」が生じることがあります。また、精巣内に血液がたまってしまうことで精巣の温度が上昇し、精子の機能が悪くなることで「男性不妊」の原因になることがあります。男性不妊症患者さんの21~39%に精索静脈瘤をみとめるとされており、男性不妊の重要な原因の一つです。男性不妊の患者さんに精索静脈瘤を発見した時には、精索静脈瘤の治療を行うことで精液所見の著明な改善が期待できます。精液検査で精子が少ない、元気がないと言われた患者様は、陰嚢超音波検査を行い、精索静脈瘤の有無を調べることをお勧めします。

重症の精索静脈瘤がある場合には、精巣機能の悪化だけでなく、精巣萎縮、精子のDNAのダメージなどが生じることがあり、若年者で挙児希望がある方は治療をお勧めいたします。

③精索静脈瘤の検査・治療は?

精索静脈瘤は、身体の表面を調べるための陰嚢超音波検査で簡単に診断できます。当院でも陰嚢超音波機器を導入しており、正確な診断が可能です。

挙児希望がなく症状がない場合には、何も治療を行わない場合が多いです。軽い疼痛を自覚する場合には、漢方薬などの薬物治療が有効な場合があります。一方、成人で不妊を主訴に受診し精索静脈瘤が発見された場合には、精子機能の改善を目的に手術治療を行うことが推奨されています。また精索静脈瘤にともなう疼痛が強い場合にも手術治療を行うことがありますが、手術治療を行っても少なからず痛みが消えない場合もあるため、注意が必要です。精索静脈瘤の根本的な治療は手術で精索静脈を結紮する治療です。下腹部に小さな切開を入れ手術する方法、腹腔鏡を用いた手術、陰嚢を切開し顕微鏡を用い静脈を結紮する方法などがありますが、もっとも再発率が少ない方法が顕微鏡を用いた手術です。「中野駅前ごんどう泌尿器科」では、陰嚢超音波検査を行い精索静脈瘤の診断を行うことが可能です。手術治療が適切と判断された場合には、最適な医療機関を紹介させていただきます。

7)陰嚢浮腫

「陰嚢全体が膨らんだ」という症状で泌尿器科を受診することが多いです。陰嚢だけの腫れであれば、上記の1)-6)を考えますが、左右の陰嚢が大きく膨らむ場合には、「むくみ」であることがあります。陰嚢の皮膚の中に水分が貯留して膨らむのです。このような場合、陰嚢だけでなく、陰茎皮膚、そして下肢の浮腫も同時にみとめることが多いです。陰嚢や下肢など下半身がむくみを起こす原因として、心不全や血管の異常などで、下半身の血液が心臓に戻りづらくなっていることが考えられます。その場合は内科専門医による治療が必要ですので、適切な施設に紹介させていただきます。

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