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尿路結石について

尿路結石は直接命を脅かす病気ではありませんが、最も強い痛みをともなう病気の1つとして知られています。患者さんはこれまでに感じたことのない激しい痛みを経験し、その後の再発を恐れ、生活に支障をきたすことすらあります。また、放置すれば、腎不全や重症尿路感染症の原因になることがあります。尿路結石を指摘された方は、かならず泌尿器科専門医の診察をうけることをお勧めいたします。

①尿路結石とは

尿路結石は、男性の15.1%(6~7人に1人)、女性の6.8%(14人に1人)が一生に一度はかかるといわれ、非常に頻度が高い病気です。日本人の尿路結石罹患率は昔と較べると急激に増加しており、食生活や生活様式の欧米化や人口の高齢化がその原因と考えられています。

尿路結石は上部尿路結石(腎臓結石、尿管結石)と下部尿路結石(膀胱結石、尿道結石)に分類されますが、上部尿路結石が96%とほとんどを占めます。上部尿路結石の発生率は、男性では40歳代がピークであり、女性では50歳代以降の方に多く、最近は高齢者の尿路結石も増加しています。

尿路結石の発生は季節変動があることが知られており、特に夏季に多いことが知られています。気温が高く汗をかくと脱水傾向となり、尿が濃縮される(濃くなる)ことで、結石の原因成分が結晶となり、結石が作られます。地球温暖化は結石の発生率に影響する可能性が指摘されており、アメリカでは2050年までに地球温暖化により尿路結石患者は約30%増加すると推定されています。当然、日本人の結石患者も増加することが予想されます。

肥満や生活習慣病(高血圧や高脂血症、糖尿病など)があると、尿路結石を合併する可能性が高いことが知られています。尿路結石発生は食生活と密接な関係があるのです。

②尿路結石の症状:なぜ痛いのか?

尿路結石はまず初めに腎臓で作られます。腎臓の中には尿が作られ流れてくる「腎盂」と呼ばれる空間があり、腎盂の中にある程度の尿が溜まるとその先の尿管に流れてくる仕組みです。結石が腎臓の中にとどまっている間は全く痛みを感じません。しかしながら、結石が尿管に流れ落ちた際に、激しい痛みが起きるのが特徴です。

よく、小さい石なら痛くない、大きい石はとても痛い、と思われている方がおりますが、そんなことはありません。結石が尿管に落ちてくると尿管はびっくりして、“攣縮”と呼ばれる“けいれん”を起こしてぎゅーっと収縮します。尿管が攣縮を起こし尿管が収縮すると、腎臓で作られた尿が尿管に流れなくなり、腎盂内に尿が渋滞し溜まってしまいます。この状態を「水腎症」と言います。腎臓には痛みを感じる神経があり、渋滞し膨らんだ腎盂が腎臓を内側から引き伸ばすために、腎臓は悲鳴をあげ、これが強い痛みとなるのです。つまり、この痛みは、腎臓が「異常が起きてますよ!」と私たちに教えてくれる信号なのです。この水腎症が突然、急激に起こるため、尿路結石の患者さんの多くは、突然の激しい腰背部痛(腰、背中、脇腹の痛み)を契機に病院を受診します。突然ののたうち回るような激しい痛みで救急車を呼び来院される方も珍しくありません。

一方、尿管に落下した結石は、膀胱までの長い道のりを移動していきます。人間の身体は不思議なもので、尿管は蠕動(ぜんどう)運動(尿管の筋肉が収縮と弛緩を順番に繰り返すくねくねした動きのこと)によって、結石をなんとか膀胱まで送り出そうとします。この蠕動運動がお腹(特に下腹部)の痛みを起こしたり、また膀胱の近くまで来ると、排尿時の痛みや違和感などの症状を出すことがあります。結石を体外に出そうとする身体の反応が、痛みの原因になるのです。

幸い結石が膀胱内に流れ着けば、よほど大きい結石でなければ、排尿の際に自然に体外に排出されます。小さい結石はよほど注意していないと気が付きませんが、5mmを超える結石であれば、トイレで何か塊が出たことに気が付くこともあります。1㎝と超える大きな結石の場合、膀胱まで落ちてきても、尿道を通過せず、そのまま膀胱に残り膀胱結石となる可能性、尿道の途中で詰まり(尿道結石)尿が出せなくなる可能性がありますが、1㎝の結石が膀胱までたどり着くことは多くありません。

③尿路結石のその他の症状

尿路結石は「急激で強烈な腰背部の痛み」が特徴的ですが、その他の症状として、血尿があります。目で見える真っ赤な血尿(肉眼的血尿)で受診する患者さんも少なくありません。結石はきれいな真ん丸な形をしておらず、トゲトゲ、ギザギザしています。腎盂や尿管の壁には毛細血管がたくさんあり、結石が移動、落下する際に傷がつき、出血が尿に混ざり血尿が出るのです。尿管結石で受診した患者さんのほとんどの方に、尿検査で血液の増加(血尿)が見られます。したがって、尿管結石を疑う時には、尿検査を行い血尿の有無を調べることが非常に有用です。しかしながら、稀に血尿がみられない場合があります。結石が尿管内に詰まってそのまま動かない場合です。その際には、血尿が消えてしまうことがあります。

また、結石が尿管に詰まり尿の流れが滞ってしまうと、そこに細菌感染を起こし、高熱(時に39度以上)が起きることがあります。腎臓に溜まった尿の中で細菌が繁殖し、「腎盂腎炎」になることが原因です。結石が原因の腎盂腎炎を「結石性腎盂腎炎」と呼びます。結石性腎盂腎炎はとても恐ろしい病気です。腎臓内に溜まった細菌尿が流れ出ないために、どんどん細菌が繁殖して、血液中に侵入し敗血症(菌血症)というとても重大な細菌感染症を起こすことがあります。治療は抗生物質ですが、尿の流れを開通する処置を行わないと、なかなか治りません。

④尿路結石の診断・検査

腰背部痛などで尿路結石を疑う場合には、通常次の検査を行い診断します。

1)尿検査

血尿の有無、尿路感染症の有無を調べます。尿沈渣検査を行うことで白血球や細菌の有無を調べることができます。

2)腹部レントゲン検査

多くの尿路結石はカルシウムを含んでいるため、レントゲンで骨と同様に白くうつります。大きな尿路結石はレントゲンで容易に診断できますが、小さな結石は見えないことがあります。また尿酸結石や感染結石など特殊な結石はレントゲンで見えないことがあります。結石がレントゲンで見えるかどうかは非常に重要で、後々手術治療が必要になった場合に、体外衝撃波治療(ESWL)を行うことが可能か判断します。また結石がレントゲンで見えれば、排石の確認はレントゲン検査で行うことが可能です。

3)腹部超音波検査

水腎症の有無を調べます。通常、尿管結石で腰背部痛があるときは、ほぼ必ず水腎症があります。逆に水腎症が無い場合には、痛みの原因は尿路結石ではない可能性を考える必要があります。

4)CT検査

結石を診断するために、もっとも確実な検査がCT検査です。小さい結石であってもほぼ診断が可能です。またCTで結石の白さを数値化することが可能で、「結石の硬さ」を調べることができます。この「結石の硬さ」は後々手術治療が必要になった場合に、どの治療を選択するべきかの指標にすることができます。きわめて稀ですが、結石の痛みと思ったら、実は大動脈解離や大腸憩室炎だった、ということがありますので、「レントゲンで結石がはっきりしない」、「超音波検査で水腎症が無い、それなのに痛みがある」、「尿検査で血尿が全く無い」場合には、結石以外の原因を疑い、CT検査を行うことをお勧めいたします。また、結石が1カ月以上経っても排石しない場合には、その後の治療方針を的確に決定するため、CT検査を行うことをお勧めいたします。

「中野駅前ごんどう泌尿器科」では、尿路結石を疑う場合に、まず初めに、腎臓超音波検査、腹部レントゲン検査、尿検査を行うことを推奨しています。これらの検査で結石以外の病気が疑われる場合には、近隣の医療機関でCT検査を早期に撮影し痛みの原因を診断いたします。

結石が1㎝未満の場合にはまずはお薬での薬物治療を行います。何回もCT検査を行うことは放射線被ばくの問題や医療コストの観点から推奨されません。結石が排石したかどうかの確認は、通常レントゲン検査、腹部超音波検査、尿検査を行い診断可能です。薬物治療を行っても結石が排石されない場合には、最適な治療方法を決定した上で、手術治療が可能な病院を紹介させていただきます。

⑤尿路結石の問題点

何が問題なのか?

尿路結石の問題点を以下に挙げます。

1)激しい痛み、血尿
2)再発が多いこと
3)また痛みが突然襲って来る恐怖・・・
4)水腎症が長引いたり、結石治療を繰り返し行うことで、腎臓機能が低下する可能性
5)結石が尿管に詰まっているが痛みや血尿が無くなったため放置してしまう可能性

この1)から5)すべて患者さんにとっては大問題です。
一度尿管結石の激しい痛みを経験した患者さんは、またあの痛みが起きる可能性があると思うと、不安で生活できないという人もいます。腎臓に小さな石があるだけで、治療を希望する方もいらっしゃいますが、小さな腎臓結石に対して、通常積極的に治療を行うことはありません。その理由は後述します。

5)も注意が必要です。結石が落下した際には多くの患者さんは激しい痛みを伴います。これは身体が異常を教えてくれている重要なサインなのです。ところが、結石が詰まっても痛み止めを飲んで我慢していると、いずれ痛みが消えてしまいます。先ほど記載したように、腎盂が急激に膨らみ「水腎症」の状態になると、腎臓は痛みを発しますが、この水腎症の状態が長らく続くと、この状態に身体が慣れてしまい痛みが消えてしまうのです。水腎症を治療せず放置すると、腎臓はだんだん尿を作らなくなり、最終的に腎臓は萎縮し機能がなくなってしまいます。病院に行かずに痛みが消えたからと言って放置してしまい、健康診断などで萎縮し機能がなくなった腎臓(無機能腎といいます)を発見される方もいらっしゃいます。したがってかならず痛みが出た際には我慢せず泌尿器科を受診してください。痛みが消えたとしても、結石が無くなり水腎症が改善したことを、かならず確認することが必要です。

⑥健診で腎臓結石を発見された:治療の必要はあるのか?

健診で行う超音波検査やCT検査で、偶然腎臓結石を発見され、受診される患者さんがいらっしゃいます。また、尿管結石で受診した患者さんが、腎臓内にも小さな結石がたくさんある場合があります。先述したように、腎臓内に結石があっても、通常無症状です。無症状ですが、結石が尿管に落下した時の激しい痛みを恐れて、治療を希望される患者さんも時にいらっしゃいます。この偶然見つかった腎臓結石に対し、治療を行う必要は果たしてあるのでしょうか? 

一般的には無症状の小さな(通常1㎝未満)腎臓結石に対して、積極的に治療を行うことはありません。その理由は、1㎝未満の腎臓結石であれば尿管に落下すれば自然に排石される可能性があること、そして結石に対する治療は何らかの侵襲(身体への負担)を伴うからです。よく患者さんに、結石を溶かす薬は無いのか?と聞かれることがありますが、残念ながら現在そのような薬はありません(開発したらノーベル賞!と言われています)。したがってもし腎臓結石に対して治療を行うのであれば、後述する「体外衝撃波治療(ESWL)」と「レーザー砕石手術」のどちらかを行うしかありません。しかしながら体外衝撃波治療は、結石を粉砕することはできますが、粉砕された結石が尿管から流れ落ちて体外に排出されるかは運に任せるしかありません。場合によっては粉砕された結石の破片が腎臓内に散らばり、将来的に腎臓結石が増えてしまう可能性もあります。またレーザーによる砕石術は、麻酔が必要で、また尿管に傷がつく可能性が少なからずあります。したがって100%副作用が無い治療ではないのです。そのため、腎結石があっても1㎝未満で、尿管に落下して、自然に排石される可能性があるのであれば、通常積極的な治療は行いません。一方、1㎝以上の腎臓結石に対しては、治療を行うことがあります。その理由は、もし尿管に落下した場合には、自然に体外に流れ出る可能性が極めて低いからです。また大きな腎結石は時に血尿や、腎盂腎炎の原因になります。そしてもし腎臓結石が2㎝以上になった場合には、1回の治療では完全に結石を摘出できず、何度も繰り返し治療を行う必要性が出てきます。したがって、1㎝以上の腎臓結石が発見された場合には、様子を見ることもありますが、大きくなる前に治療を行って砕石することを勧めることがあります。

⑦尿路結石の治療法について

尿路結石は大きさが1㎝未満であれば自然に体外に排石できる可能性があります。したがって、1㎝未満の尿路結石であれば、まず初めに自然排石を期待して、腎臓結石であれば経過観察、尿管結石であればお薬での治療(薬物治療、保存的治療)を選択することが多いです。結石が小さければ小さいほど、自然に排石される可能性が上がります。自然に排石されるのが、何よりも身体への負担が少ないのです。しかしながら1㎝以上の結石は自然排石の可能性が極めて低くなりますので、体外衝撃波治療(ESWL)やレーザー結石砕石術などの手術治療を行う必要性が出てきます。また、1㎝未満の尿管結石でも、薬物治療で自然排石されなければ、やはり手術治療が必要になります。その理由は1~2ヶ月の間様子を見ても結石が尿管内に詰まったままの場合、将来的に腎臓機能が低下する可能性が出てくるからです。大きさが1㎝未満なのに結石が排石されない理由としては、結石による炎症で尿管が浮腫みを起こして狭くなったり、結石がギザギザしていて尿管の壁に張り付いてしまっていることが原因です。その場合、いくら様子を見ても結石が排石されることは期待できません。
尿路結石の手術治療については、当院院長の前任地である東京国際大堀病院(三鷹市)のホームページに詳細が載っていますので参考にしてください。

1)保存的治療

適度な水分摂取、尿管を拡張させる薬、痛み止めなどを使用し、自然排石を待つ方法です。
よくビールをたくさん飲んで流す、逆立ちする、などと言った治療法を耳にしますが、アルコールはその後脱水になる結石形成を助長する可能性があります。逆立ちをすると結石が落ちるといった証拠は一切ありません。

2)体外衝撃波結石砕石術(ESWL)

専用のベッドに寝ていただき、結石のある部位の皮膚にクッションを押し当てて衝撃波を当てる治療です。衝撃波とは超音波のように、目に見えない圧力波のことです。通常入院せずに外来通院で治療が行えること、そして麻酔が不要(痛み止めを使います)で身体に傷がつかないことから、患者さんにとってはもっとも身体への負担が少ない結石手術治療です。治療時間は40分~60分程度で、治療終了後は帰宅し通常通りの生活が可能です。ESWLをご希望の方は、治療を行うことができる病院を紹介させていただきます。

3)レーザー結石砕石術

レーザー砕石術には、経尿道的腎尿管結石砕石術(TUL:trans-urethral lithotripsy)と背中の皮膚に穴をあけて腎臓に直接内視鏡を挿入し砕石する経皮的腎結石砕石術(PNL: percutaneous nephrolithotripsy)の2つがあります。TULがもっとも多く行われており、PNLは巨大な腎臓結石などで行われる手術治療です。

TULは尿道から尿管鏡と呼ばれる細い内視鏡を尿管内に挿入し、結石を確認しながらレーザーで細かく割り、体外に取り出してくる治療です。ESWLとの違いは、ESWLは結石を割るだけで排石されるかは自然に任せるしかありませんが、レーザー砕石術は、その場で割れた結石をつかんで、体外に取り出すことができる点です。レーザー手術を行うには麻酔が必要で、内視鏡を挿入することで少なからず尿管が傷つくなどの合併症の可能性があるため、多くの病院では2-4日程度の入院治療が必要になります。またTULを行う場合には、手術後の尿管狭窄や腎盂腎炎などの合併症を極力予防するために、尿管ステントと呼ばれる腎臓と膀胱を繋ぐ細いチューブを挿入してくることが多いです。この尿管ステントは結石が完全になくなったあとに、外来で柔らかい内視鏡(軟性膀胱鏡)を用いて抜く必要があります。

*ESWL、レーザー砕石術、どちらの治療を行うべきかは、結石の位置、サイズ、水腎症の程度、腎機能低下の有無、年齢、既往症、内服薬、患者さんの希望(1回で治療を終わらせたいなど)、を踏まえて相談させていただき決定します。ESWLを選択しても結石が硬い場合には砕石されないこともあり、その際には結局レーザー砕石手術が必要になります。

⑧尿路結石の再発予防:自身でできる予防法!

尿路結石になると、5年以内に50%の方は再発することがわかっています。結石が作られる原因は体質もありますが、やはり食生活、生活習慣が主原因です。
尿路結石の予防策として最も重要なのは、

  • 自分の食生活、生活習慣を見直すこと
  • 排石後も、病院やクリニックで結石の定期検査を受けること
  • 再発予防の飲み薬を飲むこと

です。再発しても早期に発見できれば、治療も最小限ですみます。定期検査をうけず、気が付いたら大きな結石ができていたという人も少なくありませんが、結石が大きければ大きいほど治療は難渋し、患者さんの負担も大きくなります。多くの人が再発する病気ですから、是非定期検査を行い、再発チェックに努めてください。定期検査は、レントゲン、超音波検査、尿検査で十分です。結石の定期チェックをご希望の方は、「中野駅前ごんどう泌尿器科」にご相談ください。

当院が推奨する結石再発予防法を以下に挙げます。

1)水分をたくさんとる

尿路結石の再発予防のために、食事以外で、1日1.5リットル程度の水分摂取を心掛けましょう。水分をたくさんとれば尿は薄まり、結石成分が結晶化しづらくなります。ここでいう“水分”とは決してアルコールのことではありません。また緑茶はシュウ酸を多く含むため逆効果です。純粋な水や、麦茶などが最適と思います。

2)シュウ酸を過剰に摂り過ぎない

シュウ酸は、日本人の尿路結石の原因で最も多い成分です。しかしながら私たちが日常で口にする食物の多くは、シュウ酸を含んでいます。バナナ、レタス、キャベツ、サツマイモ、ナス、ブロッコリー、ほうれん草、チョコレート、コーヒー、緑茶、紅茶などはシュウ酸を多く含むことが知られています。したがって、シュウ酸を普段摂取しないことは不可能なのです。とはいえ、過剰にシュウ酸をとればやはり結石が作られる可能性が上がります。緑茶をたくさん飲んだり、バナナを2本以上食べるなどが避けた方がよいでしょう。

3)カルシウムを適度に摂取する、食事のメニューにカルシウムを含んだ食品を加える

日本人の尿路結石のほとんどがシュウ酸カルシウム結石などの「カルシウム結石」ですから、カルシウムをたくさん摂取すると結石が作られてしまうのでは?と思われますが、実は日本人は1日のカルシウム摂取量が少ないことが知られています。実際は、この「カルシウム不足」が尿路結石発生の原因なのです。先述したように、私たちの食生活でシュウ酸を摂取しないことは不可能です。鍋の美味しい季節には、多くの葉菜類を食べシュウ酸をたくさん摂取してしまいます。葉菜類を食べない食生活など考えられないでしょう。ではどうしたら良いか?です。シュウ酸を食べるときは、一緒にカルシウムを摂取することが極めて重要です。この「一緒に」というのが重要なポイントと私はよく患者さんに説明しています。実はカルシウムは腸管内でシュウ酸と結合し、シュウ酸カルシウムという結晶となり、便の中に排泄されてしまいます。カルシウムを摂らずにシュウ酸を多く摂取すると・・・、過剰に摂取したシュウ酸が腸管から尿の中に吸収されてしまい、尿路結石の原因になってしまうのです。したがって、コーヒー、ほうれん草、チョコレートを食べ過ぎないことも重要ですが、「コーヒーや紅茶を飲むときは牛乳を入れて飲む」、「葉菜類で鍋をするときは豆腐を一緒に入れる」、「食事に小魚を組み込む」など、かならずカルシウムを含む食材をメニューに組み込むように心がけましょう。奥様など料理を作られる方に協力してもらうことがとても大切です。

4)プリン体を摂りすぎない

尿酸が尿中に過剰に増えると、尿酸結石だけでなく、シュウ酸カルシウムなどのカルシウム結石が作られてしまうことがわかっています。プリン体と聞くと、身体に良くないイメージがあるかもしれませんが、実際は私たちの体内で細胞の代謝を助ける重要な役割を担っています。しかしながらプリン体を過剰に摂取してしまうと、体内で利用しきれなかったプリン体は、体内で代謝され尿酸となって体外に排出されます。その際尿中の尿酸が過剰に増えることで、結石が作られてしまう原因になるのです。

プリン体は肉類、内臓類、魚介類に多く含まれています。たとえば、レバー、あんこう、カツオ、イワシ、アジなどはプリン体を多く含むことがわかっています。またビール、発泡酒、紹興酒などもプリン体を多く含みます。刺身や内臓類をつまみにビール・・・、とても楽しい時間ですが、一度尿路結石を経験された方は、できる限り避けた方が賢明です。一方、ウィスキーなどの蒸留酒やワインなどは比較的プリン体が少ないアルコール飲料です。尿酸というと痛風が有名ですが、尿路結石予防のためにも一度食生活を見直してみることが大切です。

5)夕食を食べたら3時間は眠らない!

尿路結石の疼痛発作で病院に患者さんが運ばれてくるのは、実は夜中~明け方が最も多いです。それは、結石は「寝ている間に作られる」からなのです。先述したように、結石生成の原因の一つに「脱水」があります。単純に脱水になると尿が濃縮され、結石の成分が結晶化しやすいからです。人間は当たり前ですが、寝ている間は水を飲まないですよね?したがって夜中はみな脱水状態になっています。明け方に結石発作が多いのはそのためです。そして、もし夕食を食べたあとすぐに眠ってしまったら・・・ 食べたものが尿の中に排泄され、さらに脱水が加わると、容易に尿路結石が作られてしまいます!! よくあるエピソードとして、夜遅くまでお酒を飲んでつまみを食べて、家に帰ってそのまま眠ってしまう・・働き盛りの人にはよくある生活かもしれませんが、この生活習慣が結石形成の重大な原因になってしまうのです。したがって、「夕食後はすぐに眠らない」、「夕食後~寝る前には水分を適度に摂取する」ことが、結石形成を予防するために大切です。

6)クエン酸を含む食材を摂取する、クエン酸製剤を内服する

クエン酸は尿中でカルシウムと結合するため、カルシウム結石の生成を予防する効果があることがわかっています。クエン酸は、梅やみかん、レモン、グレープフルーツなどに多く含まれます。これらの食べ物を過剰に摂取することは勧められませんが、毎日クエン酸を何らかの形で摂取することで、尿路結石の予防に繋がります。また、当院ではクエン酸製剤の内服薬を処方することが可能です。クエン酸の摂取は尿路結石の再発予防に有用であることはわかっており、再発を繰り返す場合には、内服薬をお勧めしています。


〇 尿路結石は、直接命に関わる病気ではありませんが、激しい痛みをともない、再発率が高く、患者さんを悩ませる病気です。尿路結石の再発を予防するためには、何よりも食生活を見直すことが極めて重要です。腰が痛く尿路結石かもしれない、健診で尿路結石を指摘されたがどうしたらよいかわからない、結石を繰り返しており予防をした、など、尿路結石でお悩みの際には一度「中野駅前ごんどう泌尿器科」にご相談ください。患者さん個々に合わせ最適な診断、治療を行わせていただきます。

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